保護中: くるしむと蕩ける

くるしむと蕩ける 男性として、その機能を持つ者としての本能とは実に厄介だと思うことがある。 一人の女性としていかに相手を大切に思っていても、必ず欲が顔を出して汚そうとする。この愛しく思う気持ちは純粋な紛れもない愛なのだと、そう胸を張って言いたいというのに、しかし同時にその柔肌に触れ歪んだ表情を己だけのものにしたいと思う。 触れなくても良い、彼女の存在がそこにあればもう十分なのだと、そう言いたい。が、実際手の届く距離に場所にいれば勿論躊躇なく触れる。それどころか腕の中に閉じ込めて、誰にも見えないように、触れないようにしてやりたいと思う。 そんな衝動を彼女は知っているだろうかと、時々尋ねたくなることがある。隣に居るだけで幸せなのだとでも言うように、は目が合えばただ嬉しそうに微笑むのだ。 そのあまりに純真無垢にも思える様子が浮竹は微笑ましく思えながらも、しかし反面、腹の底が煮えるような苛立ちを覚える事がある。つまるところそれを情欲と呼ぶのであった。 彼女が大切でたまらないあまり、その純真に胸を奪われながらも隅々まで汚してしまいたい衝動を抑えられない己自身に苛立った。しかしその苛立ちというものは単純で、彼女の素肌に触れ始めればいともたやすく解けるのだ。 唇を重ね服を丁寧に剥ぎ、肌を撫でてやればやがて花弁を蜜で濡らす。それを指摘するように下着の下へ指を潜らせ撫でてやれば、あとはただひたすら従順である。今まで教え込んだ通りに身体を反応させて、欲を煽り、そして同時に満たしていく。 今夜もまた、そうして肌の熱を分け合っていた。風呂を出た彼女がやけに甘えたように身体を寄せるうちに、気づけば褥へと二人して沈んでいた。 腰を揺らし、肌が張り付く度に甘い声が漏れる。胸元の膨らみはふるふると揺れ、ふっくらと立ち上がった乳頭は散々弄ばれ赤く腫れ上がっていた。 白い肌には、点々と赤い痕がつく。決して他人の目に触れない腹や腿や二の腕につけた痕はまるで記名したようで、眺める度に気分が良かった。 「った、隊長……ッ……」 「ン……っ……あぁ、……良いか」 うんうん、と彼女は上気した顔を何度も頷かせた。奥へさらに入り込ませるように腰を沈め、ぐりりと埋め込めばは仰け反り、喉を震わせその膣をきつく締め上げる。 肉壁の蠢く堪らない心地に、浮竹は促されるままその奥へ吐精した。びくびくと吐き出しながら、大きく脈打つのがわかる。 温くて柔らかくて、にゅくにゅくと蠢き続ける彼女の中が心地よくて仕方ない。甘い余韻に彼女は腰を揺らし、荒い呼吸で胸を大きく上下させる。 彼女の身体はその性格と同じく実に素直だった。口付けをするだけで直ぐに湿って緩み、そして中は溜息が出るほど熱く狭い。まだその蕩けるような心地を味わっていたかったが、いい加減きりがないと腰を引く。 抜き出した蜜口からは白濁が一筋とろりと零れ、その様子を眺めながら自然と唾を飲み込んだ。目的を果たした事への満足感か、彼女を思い通りに汚し征服欲が満たされたらしく、自然と口角が釣り上がった。 しかし彼女のそこは名残惜しいのか、ひくりと何度も肉色の襞は痙攣している。溢れる白濁を浮竹は指で掬うと塗り込むように腟内へつぷりと埋め、柔らかく解けた中を混ぜるように関節を曲げて前後させる。じゅくじゅくに熟れた中は、今しがた吐き出した精液と、彼女の蜜とが混ざり合い少し動かしただけでも酷い音が漏れた。 二本の指を根まで沈め、届く限りの最奥を甘く引っ掻くように指先を曲げる。襞がざらざらとする場所を何度も圧迫しながら引っ掻いてやれば、やがてじわりと蜜が染み出し指を柔く締めようと腟内が大きく膨らんだ。 気の抜けたような声が彼女の口から漏れ、同時に腰を浮かしてぴくぴくと腿を震わせる。隊長、といつものように恋人を職位で呼びながら、恍惚した表情で何度も快感の頂へと達し、満足気に微笑む。指を抜き出せば、混ざりあった互いの体液がどろりと糸を引いた。 一度は目的を達成し落ち着いていた欲だったが、淫らによがり続ける彼女を眺めるうちに早くも再び首をもたげる。まだ乾く前だった陰茎を軽く掴んで扱けば、すぐに固く熱を持ちひくりと震えた。 、と名前を呼べば次の言葉を伝えずとも小さく頷き、誘うように大きく股を開いてみせる。あまりに従順で、素直過ぎる。その淫らな誘惑に苛立ち脈打った雄の突端を、ぐずぐずに蕩けた蜜口へ押し当て一息に突き立てた。 ずぶずぶと肉を割って入り込むと、襞はきつく絡みついて吸い付く。一度目ほどの吸い付きではないが、二度目は熱くて粘着質で、ひくひくと敏感であった。 深く重い抽送を緩慢に繰り返す。もう少しでも長く、この感触を楽しんでいたい。一度吐き出した精液を塗り込むように、奥へ奥へと押し込むように繰り返す。しかし今の関係では、意味がない行為ではある。いくら彼女の中に子種を吐き出そうと、それが実を結ぶ事は決して無い。 しかし時折望みたくなるのは、この先の未来を歩む相手と決めたからなのだろう。だがまだそれは、浮竹がただ一方的に決めたというだけであって、彼女の答えを貰っては居ない。だから余計に、普段以上にしつこく求めようとしてしまうのだろう。 尸魂界でも科学技術の進歩とは目覚ましいもので、服用している薬の避妊率は十割をも超えるのだと謳っている。だから万が一にも、億が一にもこの行為で結ばれる事は無い。そう分かっていても、だが兆が一にはあるのではないかと、この湯だった頭が思うのだ。 「君との、子が欲しい」 「っ、えっ、ン……でも、ぁ、っ……」 「何れはね」 一瞬困惑した彼女に、浮竹はふっと笑いかける。今すぐであっても、浮竹は何も困りやしないのだ。浮竹は彼女との未来を望み、既に伝えている。あとは彼女が頷き手を取ってくれるのを待つだけだった。 恐らくのことだから、どう返そうか、いつ返そうかと言葉に迷っているだけなのだろう。だからもどかしい。言葉など、場所など相手が彼女であればどうだって良い。ただ頷いてくれるだけで良いというのに。 「俺はいつまで待てば良い」 「っそ、れは……っ、ぁっ、待っ……い、く……ッ」 その小さな華奢な身体を縮めて、また震える。甘く噛みつくような締め付けに、浮竹はうっかり漏らさぬように息を止めた。目に涙を溜めた彼女は髪を乱し、頬を紅潮させ荒く息を繰り返す。 しかし呼吸を整えようとするを待つこと無く律動を再開すれば、彼女は顔を歪ませ浮竹の腕を掴んだ。待って、と掠れた声で懇願する彼女を浮竹は微笑んで見下ろしながら、また更に深く重く腰を打ち付ける。 散々首を長くして待っているのだ、褥の上でまで待ちたくはない。込み上げる吐精感を何度も寸前で逃しながら、終わりの見えない冬の夜長を楽しむのであった。 2023/12/15